周産期医療
perinatal
周産期医療について
当施設は、福岡県が指定する総合周産期母子医療センターであり、福岡県南部、佐賀県東部、大分県西部、熊本県北部等をカバーし、ハイリスク妊婦を中心に妊娠初期から分娩周辺期に至る母体、胎児の管理を行っています。ハイリスク妊娠は、妊娠に伴って起こり得る様々なリスクを有する妊娠です。
1.内科疾患の合併(高血圧症、糖尿病、遺伝性疾患等)
2.胎児疾患(胎児染色体疾患、胎児心臓病、その他形態異常等)を有する
3.産科的合併症(妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、前置胎盤、切迫流早産等)
4.多胎妊娠
その他、当施設の特徴としては以下のようなものがあります。
出生前診断
当院遺伝外来と連携して、NIPT(新型出生前診断)、羊水検査等の胎児染色体疾患の診断を行っています。
胎児超音波診断(特に胎児先天性心臓病)
当院小児循環器と連携して、先天性心臓病の診断を行っています。
総合周産期母子医療センター
周産期(妊娠22週~生後1週間未満の期間)の母子を対象とした医療施設です。周産期医療を充実し、高度な医療を適切に供給する体制を整備するため、厚生労働省によって整備が進められている施設です。
総合周産期母子医療センターの指定を受けるためには、MFICU(母体の集中治療室)を6床以上、NICU(新生児の集中治療センター)を9床以上有すなど一定の基準を満たす必要があります。久留米大学病院は、現在福岡県ある7施設の総合周産期母子医療センターの1つで、1998年に認定され、2022年現在25年目になる、歴史ある周産期母子医療センターです。MFICU9床、NICU12床を有しています。
NIPT
母体血中のDNAの断片を測定することにより、胎児の染色体異常症をスクリーニングする新しい出生前遺伝学的検査です。妊娠10~16週に母体の採血を行い、トリソミー21(ダウン症候群)、トリソミー18、トリソミー13についての確率(陽性、陰性、判定保留)を計算する検査です。この3つの染色体疾患の陽性的中率(検査陽性と診断した中で、実際罹患していた割合)は91.0%(トリソミー21は97.2%, トリソミー18は 89.1%、トリソミー13は54.9%)、偽陰性(検査で陰性と診断したものの、実際罹患していた割合)は0.01%という高い精度で診断することができます*。NIPTは出生前遺伝学的検査の1つであり、出生前検査の遺伝カウンセリングの選択肢の1つです。確定的な検査ではないので、その後の方向性について十分な配慮が必要になります。当院では遺伝を専門とする医師が、妊婦さんご家族と十分な遺伝カウンセリングを行い、方針を考えていきます。
*2013年4月から2019年3月におけるNIPTコンソーシアム参加施設72,525件の解析を行なっているため。
胎児超音波診断
通常の妊婦健診で行っている、児の推定体重測定、羊水量、胎動、胎盤の位置の確認、子宮口の状態を確認する一般超音波検査と、児の先天的な形態異常などを確認する精密超音波検査に分けられます。精密超音波検査においては、一般超音波に比べ、プラスアルファの技術が必要です。当院では日本超音波医学会認定超音波専門医を中心に、妊娠中期以降に、1-2回時間をとって確認をします。チェック項目は、大脳、小脳、顔面、心臓、肺、肝臓、胃腸、腎臓、膀胱、外性器、骨格、四肢、臍帯、胎盤など、胎児の頭から足の先まで、子宮卵巣、卵管まで多岐にわたります。特に胎児心臓病に関しては小児循環器と連携して精度の高い検査を行っており、妊娠中、出生直後に速やかに適切な治療が受けられるための超音波検査を行っています。